脳の言語習得に最適な時期は5-6歳

目次

脳の仕組み

人間の脳は大脳、小脳、脳幹という大きく3つの部位から成り立っており、それぞれが独自の機能を果たしています。

このうち精神活動や行動の制御を行なっているのは大脳と呼ばれる部位であり、特に言語機能に関しては左大脳半球が大きな働きを担っているのです。

反対に右大脳半球は、音楽、美術、工作などに関する感覚や視空間、方向の認知などを受け持つ部位です。

言語機能について詳しく見てみると、言語を聞く際には左半球の側頭葉にある Wernicke(ウエルニッケ感覚性言語野)が働くことで、聞いた言葉を理解できるようになることが明らかになっています。

また、言語を話す際にはこれと異なるBroca(ブローカ)運動性言語野が働き、発音を担う部位と共に連携しながら会話を行っているのです。

 

5-6歳が言語習得の臨界期

6.5歳、8歳、11-13歳の3つの年齢層の子供たちを対象に行った言語習得の研究によると、完全なバイリンガルを目指すための言語習得の臨界期は、5-6歳であることが明らかになっています。

このタイミング以降、つまり小学校年代以降においてはその習得能力が急速に低下してしまうため、一般的には幼稚園年代において、子供たちの言語脳を刺激することが非常に大切になっています。

また、幼児は1歳で音の分析ができるようになり、1.5歳では2つの単語、2歳では3つの単語の文章が理解できると言われています。その後、3歳の頃には数の概念を理解し、5歳になると抽象的な概念も理解できるようになります。

それではこれらの脳の発達段階に合わせて、効果的な英語学習を行うためには、子供たちにどのような機会を提供すれば良いのでしょうか。

 

リスニング中心の学習が脳を刺激する

日本語と同様に、子供たちは母親の言葉を耳にしたり、幼稚園で周囲の子供たちと遊びながら過ごすことで、前述したウェルニッケ感覚性言語野が発達し、徐々に会話ができるようになっていきます。

つまり、文法や読み書きを中心とした従来の学校型教育よりも、リスニングを中心とした学習方法や体験の方が、幼児年代の子供たちにおいては効果的に脳を刺激し、適切にトレーニングを行うことができるのです。

初めのうちは全てを聞き取れなくても、ネイティブが話すスピードの会話を繰り返し子供たちに聞かせて、少しづつ声を出してリピートしたりするような訓練がおすすめです。

子供のレベルに合わせてゆっくりとした発音の会話を耳に入れるよりも、リエゾンのかかった早いスピードの英語をたくさん聞かせてあげることで、実際の英会話の状況に少しづつ慣れさせていくことが大切です。

これらのトレーニングにより、ただ日常会話をこなせるだけではなく、ほぼネイティヴとも思われるようなレベルのバイリンガルに近づくことができるのです。

子供たちの将来を見据えて、早期からの英語学習をご検討の親御様へ、これらの情報が参考になりますことを願っております。

(HelloKids事務局 Yuta)

 

参考)「脳科学から見た効果的多言語習得のコツ」植村 研一(脳神経外科位・日本医学英語教育学会名誉理事長)