オーストラリアのコロナの状況について(2021年8月27日現在)

コロナ感染数の現状

8月27日現在、オーストラリアでは1日あたりの新型コロナ感染症への新規感染者数が1,000日を超える日が出てきており、ニューサウスウェールズ州のシドニーなど主要都市では厳しい外出制限などを含むロックダウンの実施が2ヶ月以上も続いています。

ロックダウンは日本の緊急事態宣言よりも人々の行動に強い制限をかける措置であるため、反発する一部の市民がデモ活動を展開し、警官との間で衝突するという事態にも発展してしまいました。

 

参考) Coronavirus (COVID-19) at a glance – 26 August 2021 – Health.gov.au

また、こうしたオーストラリア国内のコロナ感染状況と人々の受け止め方には、各州によっても差が生じています。

ブリスベンやゴールドーストを擁するクィーンズランド州では、日々の新規感染者数が継続的にほぼゼロで推移していることもあり、隣接するニューサウスウェールズ州との境界にチェックポイントを設け、州間の人々の移動を厳しく制限しています。

現在、デルタ株による新規感染が増えているニューサウスウェールズ州からの人々の移動を大きく抑えるため、建設業やチャイルドケアなどこれまではエッセンシャルワーカーのカテゴリーに属していた労働者も、入州が認められない状況になっています。

一方、危機感の増すニューサウスウェールズ州では、ここに来て日々のワクチン接種のスピードが上昇し、世界的にも速いペースで進んでいます。

”ゼロ・コロナ政策”からの方針転換とロードマップ

オーストラリアのスコット・モリソン首相は、これまでのゼロコロナ政策を見直し、一定の割合にまでワクチン接種率が到達した場合、コロナとの共存を目指す政策へ方針転換を行うことを明言しました

また、以前より掲げられていたAfter コロナ(With コロナ)に向けたロードマップの4段階において、それぞれのステージに進めるための目安となるワクチン接種率が具体的に明言されました。

 

Government’s four-stage plan to return to normal


Phase A: Vaccinate, prepare, pilot (2021年8月27現在)

・海外からのコロナ侵入を防ぐため国境を閉鎖

・クラスターが発生した場合にロックダウンを実施

 

Phase B: Vaccine transition phase (70%のワクチン接種率到達後に開始)

・ワクチン接種完了者の旅行上限者数を拡大(現在は一部の特別免除者とビジネス従事者のみ可)

 

Phase C: Vaccination consolidation phase (80%のワクチン接種率到達後に開始)

・ワクチン接種完了者のオーストラリアへの帰国制限を撤廃

・ワクチン接種完了者の海外渡航制限の撤廃

・ロックダウンは最終的な措置としての位置付け

 

Phase D: Final post-vaccination phase

・感染リスクを持つ海外からの旅行者へのみ隔離措置を実施

・ブースター摂取の検討

 

状況は日々変化していますので、確実なことは誰にもわからない状況ではありますが、これらによるとワクチン摂取率が70%、または80%に到達をした段階で、これまでの海外渡航規制が徐々に緩和・撤廃されていく計画であることが伺えます。

仮に現在のワクチン摂取ペースが維持された場合、70%への到達時期はおよそ10月末、80%へは11月中旬頃と予測されますが、今後のワクチン供給の状況や世論、人々の意識の変化などにより大きく変動することも予想されます。

ただ、明るいニュースとしてはQantas航空をはじめとする主要航空会社が今年度中を目処に、徐々に国際線の運行便を再開、増加させていくことも発表されています。

現在の閉塞感漂う状況から、少し変化の兆しが見えてきたオーストラリア。今後の動向にも注目をしていきたいところです。(HelloKids事務局)