RBA のフィリップ・ロウ総裁はこの声明の中で、「オーストラリア経済は依然として底堅く推移していて、既に症例数も減少傾向に転じており、消費は今後徐々に回復していくと予想される。RBAでは2022年のGDP成⻑率を4.25%、2023年を2%と予測している」と述べました。
また、「この見通しは、家計と企業のバランスシートがおおむね良好であること、企業の投資が増加していること、建設工事のパイプラインが多いこと、マクロ経済政策が支持されていることに支えられています。ただし、引き続きパンデミックによる不確実性は秘められている。」とも述べています。
記録的な低金利と、COVID-19に対応するための 政府による3,000億ドルの緊急財政支出が、こうした明るい見通しを後押ししています。
強気の見通し
世界第13位の経済大国オーストラリア(日本は第3位)の今後の経済に関する見通しについて、エコノミストは概ね強気のスタンスを取っています。
Commonwealth Bankグループのエコノミストは、オーストラリアの2022年度の経済成⻑率は5.1% になると予測しています。この数字は昨年度時点での予測値である4.4%を上回り、また”標準的な”成⻑率と言われる2.5%を大きく上回っています。
ANZ Research社も、2022年のGDP 成⻑率を5.8%と予測していますが、2023年には2.6%の成長に留まると見ています。オーストラリアの景気回復の堅調さを示すように、12月度の失業率は4.2%と実に13年以上ぶりの低水準となりました。
オーストラリア統計局(ABS)の労働統計責任者であるビョーン・ジャービスは、 「この失業率水準は、世界金融危機とリーマンショックが始まる直前の2008年8月に4%を記録した時以来の低さである。」と述べました。
インフレ、金利リスク
しかし、失業率の低下に加え、国境規制やサプライチェーンの混乱による移⺠の減少により、インフレ率が上昇しています。
1月の「ヘッドライン」インフレ率は3.5%、「アンダーグラウンド」インフレ率は2.6%に達し、オーストラリアの中央銀行には金融引き締めに対する圧力がかかっています。
エコノミストたちは、RBA の総裁が引き締め政策を「忍耐強く行う用意がある」と コメントしたにも関わらず、早ければ2022年8月にも金利が上昇する可能性があると指摘しています。
2月1日現在、RBA の公式キャッシュレートの目標値はわずか0.1%で、日銀のマイナス0.1%と同様です。低金利の影響で、オーストラリアでは住宅ブームが起きており、2021 年には全国で24.5%の価格上昇が見られました。ブリスベンの物件が30.4%と急上昇したのを筆頭に、シドニー 29.6%、ホバート 26.7%、アデレード 25.8%、メ ルボルンは 17.9%とドコモ軒並み大きく上昇しています。
2022年には不動産価格がさらに上昇すると見られていますが、エコノミストはこの成⻑率の伸びは徐々に鈍化していくと予想しています。Commonwealth BankとNational Australia Bank は、金利上昇の影響を受けて、来年には約 10%の下落を予測しています。また、オーストラリアの株式市場は2021年に年率13%の上昇を記録しましたが、 Commonwealth Bankは2022年には5%の上昇にとどまると予想しています。
その他のオーストラリア経済のリスクとしては、COVID-19 ウイルスの新たな変異株の出現、オース トラリア最大の貿易相手国である中国との更なる緊張関係、5月に予定されている連邦選挙による政府の支出や税制への影響などがあります。
ANZ のチーフエコノミストであるリチャード・イェツェンガは、「景気刺激策によって経済成⻑と失業率の低下を実現することはひとつのアイディアだが、景気刺激策が終了した後に持続的な繁栄を実現させることはまた別のチャレンジであり、これが2022年の真の課題である」と述べています。
これにより海外旅行が再開されれば、オーストラリアの教育や観光業界にも光が射し、小売業やその他の企業にも追い風となることでしょう。
みなさま、久しぶりの海外旅行や留学の行き先に、ぜひ一度オーストラリアをご検討されてみてはいかがでしょうか?(HelloKids事務局)