こんなにも違う!?東洋と西洋のコミュニケーション

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日本と欧米のコミュニケーション方法には、時に私たちが認識しているよりも大きな違いがあることを頭に入れておくことが大切です。

そもそも双方におけるコミュニケーションの仕方においては、文化や歴史、社会的な要因等が反映されていることから、その解釈や理解に誤解が生じ得るということを意味しています。

「日本人は、こちらの質問に対してYESかNOで答えることはまずない。直接的な質問も、直接的な回答のいずれもあまり好まれません。」

これは、外国人に向けて日本の文化を紹介している「Xenophobe’s Guide to the Japanese」に記載されたコメントです。

また、あるアメリカ人のビジネスマンが体験したエピソードとして、下記のような事例が同国で話題になりました。

彼が日本企業との商談を終え、満足気にオフィスへ戻ってきたので、上司が「商談はどうだった?」と尋ねると、「うまくいったようです!」と彼は答えました。

続けて彼は、「我々の提案内容についてどう思っているかを日本企業の担当者に尋ねたところ、全員がうなずいて『はい』と言いました。どうやら商品が売れたようです!」と言いました。

しかし実際のところ、このアメリカ人ビジネスマンにとって、商談はまだ終わっていなかったのです。

日本企業の担当者たちは、彼の提案内容について理解したことを確認しただけで、購入することに同意した訳ではなかったのです。

結局、このビジネスマンは、最終的な契約の成立に至るまでに、さらに何度も打ち合わせを重ね、詳細な説明と確認を行う必要があったのです。

これは、あくまでもアメリカ人から見た”面白い”エピソードとして紹介されていますが、日本人である私たちからすれば、何とも苦笑してしまうような、そんな気持ちにさせられてしまいます(笑)。

直接的か、間接的か

Japan Intercultural ConsultingのRochelle Kopp氏は、東洋と西洋のコミュニケーションの違いを下記のように表現しています。

「アメリカ人やオーストラリア人のコミュニケーションは、より直接的で単刀直入な表現を用いることが多く、意見の相違はオープンに議論され、解決が図られます。」

また、Western University Washington では、「コミュニケーションの理想形は、直接的且つ明確に伝えることです。様々なバックグラウンドを持つ人々が暮らすアメリカはもともと移⺠社会なので、できる限り自分のメッセージをはっきりと言葉にして伝えることが重要なのです」と、述べられています。

「人はそれぞれ異なり、大多数の人々が持つ文化的な背景や価値観を、必ずしも誰もが同程度に持っているとは限らないことを人々は理解しており、できる限りの誤解や間違った先入観を排除しようとする傾向があります。」

アメリカ人およびその他の⻄洋人は、伝えたいメッセージを主に口頭で表現するため、ボディランゲージにはあまり注意を払わず、直接アイコンタクトを保つことを好みます。また、欧米人がお互いに挨拶をする際には握手をするのが一般的であり、日本人がするようなお辞儀は欧米では見られません。

一方、私たち日本人同士のコミュニケーションにおいては、欧米人のそれと比べると、やや間接的な表現をすることが一般的と言えるのではないでしょうか。

日本人のコミュニケーションを客観的に見てみると、相手に対して否定的な情報はあまり提示せず、対立を避けるように配慮する場面が多く見られます。

「ただし、これらは組織や集団におけるトップダウン的なコミュニケーションにおいては例外もある。」とKopp氏は述べています。

「日本では、”言葉”はお互いの気持ちや言葉以外のジェスチャー程には信用されない傾向にあると言えます。言葉によるコミュニケーションは、数あるコミュニケーション手段のひとつに過ぎないのです。沈黙や”間”、動作、表情、ボディランゲージなどを駆使することてが、より直接的に気持ちや考えを表現することになるのです。」 (Western University Washington)

「日本人は自国を人種的にも文化的にも均質で、⻑い伝統の歴史がある国だと考えています。大多数の人々が持つ価値観や暗黙のルールを誰もが理解しており、それに従って行動することが前提となっている。日本語の強みは、人間関係や連帯感、感情を表現することにあると言えるでしょう。」

日本特有の階層構造

実は日本人に特有と言えるコミュニケーションの仕方は、年功序列的な階層構造や価値観に起因するものが大きいと考えられています。

日本では、自分の先輩や上司にあたる地位の高い人に対しては、よりフォーマルな言葉(敬語)が使われるのが一般的です。

また、日本人は欧米人に比べて、目上の人の機嫌を損ねないようにする傾向が強く、自分の意見を主張することが少ないと言われています。

これは、組織や集団におけるつながり、連帯感を維持し、対立を防ぐためには、違いを表に出すよりも調和が重要だと考えられているからです

このことからも、アメリカやオーストラリアなど欧米諸国の個人主義的な文化に比べ、日本は集団主義的な文化を持っていることが伺えます

例えばオーストラリアのような国は、より平等主義的な文化を持っているので、相手の社会的地位に関係なく、自分の意見を率直に表現することが一般的です。

ある時、オーストラリアのクリケット選手、デニス・リリーがイギリスのエリザベス 2 世に「G’day, how ya goin?」と挨拶をしました。

オーストラリアではこのようなカジュアルなフレーズかは一般的ですが、イギリスではこの表現の気軽さがむしろ失礼にあたるとされ、一部の人々やメディアから批判が起こりました。

日本が複雑な社会構造と均質的な文化、価値観を持つ社会であるのに対して、オーストラリアは広大な大陸を持ちながら、比較的人口が少なく、もともとはイギリスの囚人の流刑地だった国です。

これらの地理的、歴史的な要因も同国が平等主義的な文化を有している理由のひとつなのかもしれません。

 

西洋人と効果的にコミュニケーションを取るには?

日本人がオーストラリア人や欧米人とコミュニケーションを図る場合、下記のような点を意識してみると、よりスムースに意思疎通ができるかもしれません。

例えば、言葉によるコミュニケーションでは、より直接的で表情豊かに、かつ礼儀正しい(”I want” ではなく ”I would like…” など)話し方を心掛けること。

また、笑顔やオープンスタンス、アイコンタクトもに意識を向け、適切なパーソナルスペースを確保することも大切であると、フリンダース大学による研究結果から明らかになっています

オーストラリアでは英語が第一言語として用いられていますが、実はオーストラリア人の中には日本語を話せる人も少なくありません。

在シドニー日本国総領事によると、2020年時点でオーストラリアでは約40万人が日本語を勉強しているとされています。

またクイーンズランド州では、日本語は最も広く学習されている外国語で、2014年現在で約500の学校が日本語の学習クラスを提供しています。

英語に自信がないとあまり不安を感じすぎずに、もしも困ったことがあったら、笑顔で「G’day!」と言えば、フレンドリーなオージーが助けてくれるかもしれません。(Hello Kids 事務局)