バイリンガルの子どもを育てる4つのメリット

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親なら誰しも、自分の子どもに最高の教育を受けさせたいと考えています。多くの学術研究では、外国語を日常的に使用する環境を子どもに用意してあげることが、特に第二言語の習得においては大きなアドバンテージをもたらすことを示唆しています。ここでは、バイリンガル教育のメリットについてお伝えしていきたいと思います。

1. 認知的能力におけるメリット

二つの異なる言語を操る子どもたちは、単一の言語を話す仲間と比べて、異なる言語構造や社会的文脈を理解する能力やマルチタスク、創造力、問題解決能力、記憶力などが向上することが多いと言われています。

ニュージーランドで行われたある研究では、バイリンガルの子どもたちが、情報処理を主とする課題において、非バイリンガルの子どもたちよりも優れた成績を収める傾向にあることが明らかになりました。さらに、これらの傾向は社会経済的な背景によらず、すべてのバイリンガルの子どもたちに及ぶことが示されています。

これらの認知的能力におけるアドバンテージは、将来どのようなキャリアやライフスタイルを追求する場合でも、明確なメリットをもたらすと言えます。

2. 学業成績の向上

バイリンガルの子どもたちは、学校の成績においても多くのメリットを享受しています。例えば、音楽(楽譜の学習や理解)、コーディング(新しいプログラミング言語の学習)、さらには第三言語の学習においても優れた能力を示すことがあります。

さらに、バイリンガルの子どもたちは数学(問題解決能力や新しい概念の理解力の向上)、科学(記憶力や情報処理能力の向上)、社会(文化的な経験の豊富さ)においても優れた成績を収めることが研究で示されています。

3. 文化的・社会的意識

海外での生活は新しい文化や価値観、習慣などに触れる機会が多く、第二言語をスムースに習得できるだけでなく、子どもたちは社会や周囲の世界に対する理解を深めることができます。

これは、特にグローバル化が進む今日の世界においては非常に重要なスキルです。これらの文化的・社会的なスキルは、子どもたちの環境適応能力や社会的な文脈に対する認知力、異なるバックグラウンドを持つ人々への理解、さらにはネットワークの構築や新しい友人を作る能力などを高めることができます。

4. キャリアの拡大

また、バイリンガルとしてのスキルはキャリア形成にも大いに役立ちます。より多くの国で就業機会を得るチャンスが広がるだけでなく、個性的でと特徴的な人材としてユニークな役割やポジションを担うことができるでしょう。

例えば、国際弁護士や医師(多様な外国人コミュニティを抱える場合など)、翻訳者、教師、ジャーナリスト(母国語以外の人とインタビューやコンタクトを行うことができる)、UX/UIデザイナー(異なる言語ユーザーの操作方法の理解が深まる)、外交官、研究者、または経営コンサルタントなどが挙げられます。

まとめ

子どもたちをバイリンガルに育てることは、上記のように多くのメリットがあります。幼児期から海外での生活や学習を体験させてあげることで、新しい文化に触れるチャンスを育み、言語学習とともに文化的・社会的スキルの大幅な向上が期待できます。また、記憶力や創造力、問題解決能力の向上だけでなく、将来のキャリアの発展にも大きく影響を与えることでしょう。

参考文献:

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