日本とオーストラリア、家庭内での教育スタイルの違い

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日本では先日、子供への体罰が法律で禁止されたことをご存知でしょうか?
一方、オーストラリアでは実はこれを規制する同等の法律はありません。

果たして、子供への体罰は禁止されるべきなのかどうか、日本とオーストラリアの考え方やアプローチの違いなどから考えていきたいと思います。

2019年6月、日本では国会での審議を通じて、親や保護者による子供たちへの体罰を取り締まる法律が制定されました。

この一連の動きは、”躾(しつけ)”という名の下に起こった、ある2歳の子供への児童虐待が発端となっています。

”国は躾と言う名の暴力を認めないことを宣言したのです。”

西南学院大学の安部計彦教授は共同通信への取材にこのように答えました

この新しい法律は、地域の児童相談所や関連団体に対して、情報共有と家庭内暴力に対処する組織間でのさらなる連携を図ることを義務付けています。

また、過去に児童虐待の経験を持つ両親に対して、政府と児童福祉センターは再発防止に向けたカウンセリングを実施することも必須となりました。

これらの日本の取り組みは、ヨーロッパをはじめイスラエルやブラジルなどを含む世界58ヶ国で実施されている体罰防止の動きを追従するものとなっています。

そしてさらにこのテーマについて考える際には、120ヶ国以上の国々ではすでに学校内における体罰も禁止されているという実態についても、私たちは理解しておく必要があります。

一方、アメリカをはじめカナダやイタリア、そしてオーストラリアなどを含む多くの西洋諸国では、今でも体罰が認められていることもまた事実です。

 

オーストラリア -正当防衛としての体罰-

オーストラリア人の多くは、自国が自由を尊重し、現代的な法律によって整備された民主主義国家であることに誇りを持っています。

しかし、親や保護者が子供たちへの体罰を行うことは合法的に許可されており、いくつかの州では学校の先生たちによる体罰でさえも認められています。

これは、子供たちの年齢や体の大きさなどを考慮したある一定の状況においては、体罰が正当な理由を持つ防衛行為であるとみなされているからです。

例えばクイーンズランド州では、子供たちの誤った行動を矯正し、正しい躾を行い、適切に管理し、コントロールするために必要不可欠な行為は体罰に当たらないという取り決めがなされているのです。

 

子供を叩くことについての議論

国連はConvention on the Rights of the Childの中で、子供たちはあらゆる暴力や精神的圧迫、怪我や虐待、無視、搾取などから保護されるべきであると主張しており、これらは親や保護者、先生などを含む、子供たちに関わるいかなる立場の者に対しても同様の内容を求めています。

さらに一部の評論家たちは、本人が体罰とは認識していないような些細な行為であっても、子供たちにとっては重大なトラウマになってしまう危険性があることも懸念しています。

親による児童虐待は、子供たちの予測不可能な行動や将来的な結果をもたらすリスクがあるという研究結果が明らかになっているのです”

シドニー技術大学で准教授を務めるPatrick Lentaはこのように主張しています。

また、2016年に行われたElizabeth Gershoffと Andrew Grogan-Kaylorの研究によると、親の過度な躾は子供たちに攻撃的な態度や反社会的行動、精神障害、自己肯定感の不足を引き起こし、親子間の適切な関係を損なう可能性があると指摘しています。

また、その他にも2013年に行われたある研究では、”体罰を用いることによるメリットやポジティブな結果は見られなかった”ということも明らかになっています。

これは親による子供への体罰は、彼らの否定的な感情や怒り、悲しみ、恐れ、恐れといったネガティブな結果を生み出す可能性があることも同時に示しています。

 

体罰以外の効果的な躾の仕方

では、果たして体罰を行わずにどのような方法で子供に躾を行うのが適切なのでしょうか?

オーストラリアのリサーチセンターによれば、下記のような方法が効果的であると認めています。

・お互いに誠実に話をし、周囲で助けが必要な人を見つけた時には、積極的に助けてあげることを家庭内でのルールとして一緒に実行する。

・どんな行動が期待されているのかを子供にしっかりと教える。例えば、食事の時は一緒に座る、などの行動をまずは親が実際にやって見せる。

・良い行動を褒める。望ましい良い行動を促すためには、それをしっかりと文字にして褒めてあげることが効果的である。

・子供に与えるお小遣いや時間に制限を課して、それを破った時のルールを決める。

 

さて、あなたは家庭でどのような躾を行なっていますか?

この問いに正解はありません。

私たち自身が子供たちとしっかりと向き合い、彼らの成長のためにどんなことができるのかを、日々彼らと一緒に考えていくことが何よりも重要なのです。

 

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